朝日はそう来るし。

http://www.asahi.com/international/update/0824/TKY200708240002.html

この件について2つ目のエントリ。実は驚いたわけです。

半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。

大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。

ひょっとしてあの朝日が「日本は戦前に民主主義だったことがある」と言ってるの?
「戦前の日本は民主主義だった」とは言っていないと信じたい。アサヒなのにアサヒなのに。

そういう主張があるのは知ってるけど、朝日もその考え方だったとは完全に想定外でした。すいません。

ワタシは戦前には民主主義はなかったと思う。その理由は以下。

まず第一に、そもそも戦前の選挙は「男子普通選挙」であって、広義な(朝日チックワードktkr)普通選挙でしかない。しかも、選挙していたのは衆議院のみで、貴族院は選挙していない。一応予算の先議権をもってたけど、両院の立場は対等。実際に婦人参政権とか労働組合の法律認可とかは貴族院が成立を拒んでいる。これって民主主義としてどうなの?

そして第二に、国民が関れた権力なんてごく一部だ。戦前の庶民が選挙を通して国政に参加できたのは天皇の立法を協賛する役割の国会だけ。しかも、勅命なんかは協賛なしに法律として成立するので、立法権の全部ではない。そして上述の通り貴院には関れないから半分だけ。議院内閣制ではない(一時期それっぽかったけど)から行政権と国民は断絶してるし、司法は元々独立、軍隊は・・・制度上内閣ですら触れないっすよ? そういえば外交も天皇のみ可能な行為だった(実際は内閣が仕事しますが)。民「主」主義というには掌握範囲狭すぎだろう。

民主主義の成立要件が何か、ってのは知らんですが、上2点をもって民主主義ではない、とは言えるというのがワタシの感覚。政友会と民政党が政権争いしてた時期が辛うじて民主主義に近いかもしれませんが、制度的な縛りは小揺るぎもしてないわけで、民主主義だったとは絶対にいえないと思う。朝日ってこういうところ辛く評価を下しそうなものなのに、なんで「史実」なんて強い言葉使ってまでこんな主張なのかね。暑さとブッシュ嫌いで判断が狂っただけなら安心なんだが。